思えば私は非常に「縁」に恵まれているようです。
きっかけは私が大学生の時、高校時代からの友人に「一緒に古武術を稽古しよう」と誘われた事でした。
私はお世辞にも運動神経が良いわけではなく、学校の授業以外では武道経験もありませんでした。
その友人も同様でしたが、その一言をきっかけに私達は道場を探しはじめました。
彼のその一言がなければ、古武術の世界に入ることはなかったでしょう。
続いて実家近くに天心先生が住んでおりました。
道場に通いやすいということは、これから稽古を続けるために非常に重要なことです。
また当時天心流では新規の入門者を受け付けておらず、希望者はすべて断っていたのですが、天心先生の知人と私の名前が似ており、電話口でその方と勘違いしてお宅に招かれた事で、奇跡的に入門を許されました。
さらに天心流の稽古を始めて数ヵ月後に、現在は天心流兵法 第十世であります鍬海先生にお会いすることができました。
それからしばらく武友としての交流が続いた後、鍬海先生が天心流に入門したと聞いた時、非常に嬉しかったことを覚えております。
鍬海先生にお会いしていなければ、現在、天心流は存続が間違いなく危ぶまれていたでしょう。
このような数奇な縁を経て、私は十年以上天心流の修業を続けております。
甲斐あって、2012年に目録を頂戴し、また令和元年五月一日付けを以て、第十世師家 鍬海政雲先生より相伝印可を受けました。
現在は第十一師家として天心先生、鍬海先生と共に、弟子の指導と自らの稽古の両方に励んでおります。
皆様がこのホームページをご覧頂いていることも、またひとつのご縁だと思います。
中には「自分に古武術の稽古が出来るかどうか不安だ」という方もいらっしゃると思いますが、私も当時はそのように思っておりました。
ですから、自信をもって大丈夫ですとお答えします。
このご縁を経て、皆様と一緒に天心流兵法を稽古できる日を楽しみにしております。
天心流兵法 第十一世師家 井手 柳雪