手楯について

これは手盾と呼ばれる小さな楯です。
タテ五寸ほど、ヨコ三寸強、ハバ三分程度。
本来はこれは竹を五枚程繋げて、一枚として四方を鉄で補強し、上から革を貼りそれを漆で塗り固めます。
革には等間隔でビスを打ちこみます。

裏側には持ち手を付けます。
持ち手は、写真の如く、持ち手の上下が突き出して、本来は尖っていて突けるようになっています。
持ち手は刀を持ちやすいように、やや抉れています。
簡易な場合は紐など通すのみで用いておりますが、いずれも左手も刀を持ったまま使えるように致します。

小ぶりであるので、道中など用心が必要な場では、左腰に吊るして携帯し、咄嗟の時に外して用います。
これはもちろん普段使いというものではなく、小ぶりであるので、特に旅の道中など用心が必要な際に左腰に吊るして携帯するものです。
咄嗟の際に用いますが、あえて見せる場合、見せぬ場合、用法用途に合わせて用います。

隠す場合は剣を右片手持ち右足前の半身に構え、左手で腰の手盾を持ちます。
誘い切り出した所で手盾にて受け流しなど行うという塩梅です。

鎖鎌の分銅など投げ物に対して特に有効です。
しかし携帯用ですので、防御面積が小さいために、あまり積極的な受けには向きません。
その代わりに剣の両手使いが出来るというメリットがあります。
小さいものを自在に操る事が、陣笠などを手盾とする技法に活かされるものです。

こちはは天心先生自作の稽古用の手楯です。
黒縁はテープです。
柳生笠の家紋は江戸柳生の分流の証というか、天心先生の好みです。
やや斜めに貼ってしまっている所に、拘りに反した不精を感じます。

模造刀の傷があります。
案外頑丈ですが、斬撃は基本的に受け流し等用いて衝撃を弱めます。
これは刀での防御法と同様です。

咄嗟の抜刀では手盾持つ間もありませんし、普段の生活で携帯するものではないので、基本「外物」(とのもの)扱いです。

ある程度稽古年数を経た者が学ぶのですが、応用ですので格別な事があるのではなく、応用の範疇です。
むしろ製作が一番大変かもしれません。
現在は門人に、その修業年月に限らず体験を推奨しております。
事由は相手がそういったものを使って来る可能性もあるからです。
鎖鎌も同様の理由を内包致しますが、「自身で扱う事で、対策も自ずと視えてくる」ものだという思想です。
未知のものに相対する恐怖と危険は大きなものです。

こちらは山谷稽古より、天心先生による手楯の用法指導です。
手楯は勢法が(型)があるのではなく、あくまでと用法であり、刀法(剣術の技法)をベースにした応用であり、定めなしの外物です。

先代は、手楯が『ローマとかあっちのがずーっと来て日本にも影響したんじゃないか』と仰っていたそうです。
別に天心流の手楯がという意味ではなく、楯文化そのものという意味ですが。

何故か矢を防ぐための置くタイプの垣盾は用いられましたが、手持ちの楯は定着しませんでした。
古武術では陣笠を楯とする教えや、また伝書等に手楯の絵図や文字を残す流儀があります。

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