物を知らない人ほど、断定的に言い放つ

この優越の錯覚は「ダニングクルーガー効果」と呼ばれる認知バイアスのひとつだそうです。

・自身の能力が不足していることを認識できない
・自身の能力の不十分さの程度を認識できない
・他者の能力を正確に推定できない

能力が低いと、却って思い上がり勘違いしてしまうというもの。

これは武術界隈に限らず到るところで見受けます。
ネット上でも、身の回りにもそういう人を見受けることはまままります。

逆に知識や能力がある人ほど、世間的な中での知識や能力における相対評価ではなく、自身がまだまだ知らないこと、至らないことをよく自覚しているため謙虚に振る舞うそうです。

そもそも自分が無知であったり、能力が不足していると気づくには、相応の知識や経験が必要になります。

江戸期の武家文化などについては、実はまだまだ研究が十分ではないため、誰もはっきりわからないことがたくさんあります。
しかし先生と呼ばれるようになると、素直に知らないといえず、知ったかぶったり、もしくは推察、思い込みで断言したり、場合によっては質問すること自体に理不尽に怒り出します。
素直に知らない、わからない、調べてみると言えないようです。

知れば知るほどに、自らの不足を知る。
論語には「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」(知之為知之、不知為不知。是知也)と記されており、またギリシアの哲学者ソクラテスも「無知の知」を教えています。
すでに2500年も前から指摘されていますが、我々はこの人の持つ認知バイアスを完全には克服出来ていません。

私達は有職故実や江戸文化の専門家ではありませんし、また他流についてはよく知らないことの方がはるかに多いですし、天心流の技法についてすら、まだまだ完全に理解できているわけでもありません。

稽古している中で、私(鍬海)に出来る技が他の人には出来ない、その違いについての知見などを発見してくれることが日々あります。
いずれ彼らは私に出来ないことを出来るようになり、それを私にシェアして、私を上達させてくれるようになるでしょう。
それは非常に近い未来のお話だと思っています。

恥だなどとつまらないことを考えず、小さな砂場の砂山の上でマウントを取るようなまねもせず、互いに切磋琢磨して技芸を磨き上げていくことこそ、今の時代にあるべき健常な流儀のあり方だと考えています。
しかしマウントを取るのも、恥を恐れるのも、人は持って生まれる気質であり、常にそれを自覚して戒めていかなければなりません。

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